平成24年（2012）の事件

4月22日、中国産トキが日本の野生で定着が始まったというニュース。
佐渡島で日本生まれのトキの最後の個体･キンが推定36歳で事故死したのは2003年10月10日。
それに先立つ1999年に、中国の江沢民が日本に2羽の中国産トキを贈呈していて、佐渡トキ保護センターで人工繁殖が取り組まれていた。繁殖は順調に行われ、2008年からは自然界への放鳥も行われるようになった。（第1回と第2回は試験放鳥。第2回試験放鳥の半年後（2010年）にゲージ内に貂（テン）が入り込み、9羽が食い殺されるという事件が起こり、放鳥方法に工夫が重ねられた）
2016年3月時点までで計215羽が放鳥されたが、無事な生息が確認されているのは112羽。
トキは様々な敵的事項に弱いことが明らかになってきた。（特に、よく猛禽や野生動物に襲われている）
そんな中で、放鳥されたトキが初めて野生下で子を産み、それが巣立ったのが確認されたのが1月後の2012年5月。
2016年2月現在で自然下で生まれ生存している事が確認されているトキの数は38羽。
（放鳥されたトキは脚に識別票をつけているため追跡が容易だが、自然下での誕生個体はそれが無いため、確認数は暫定的だが、順調に増えていると思われる。）

とりわけトキがニュースになるのは、ニッポニア・ニッポンという学名を持っているため。日本を代表する鳥とみなされるからである。
だが現在の日本の“国鳥”はキジで、日本産トキは2003年に“絶滅”してしまった。そもそも江戸時代までトキは日本全国に棲息していたが、「田を荒らす害鳥」とみなされ、または「独特の臭みはあるがそれなりに旨い鳥」「羽根が装飾品に適した鳥」として適当に狩られ、ほとんど大事にされてこなかった。現在では中国での個体の方が約8倍多く、中国産トキと（故）日本産トキは遺伝子的には同一であるそうだが、中国はトキを中国の国鳥としようという動きも始めているそうである。（あり得ないことだが、そのあかつきには“ニッポニア･ニッポン”という学名も変更されるであろう）
中国はパンダと同様にトキを外交武器とし始めている。

一方で、トキは一生を通じてほとんど移動しない鳥とされているが、例外的に石川県や富山県に飛来している個体も認められているそうである。